私にとってのヘビーサイケ

巷にはただのB級ハードロックをヘビーサイケとして語る人たちが多いので、私は怒っている。以下、私の考えるヘビーサイケをアルバム単位で列挙する。概して私がヘビーサイケに求めているのは不健康なワルさと重さのようだ。

 

1. Blue Cheer "Vincebus Eruptum"  (1968)

ギターが爆音でかっこいいのはもちろんだが、ギターの歪みを前提とし、ストップ&ゴーと変速のみで進んでゆく曲のハードコア的構成力の方が今重要ではないだろうか。プロトハードコアと考えればライブで一切ジャムをしなかったのも納得。

 

2. Stephen David Heitkotter "Black Orckid" (1971)

曲と即興の境界が不明瞭な、いきあたりばったりすぎる演奏が退廃的すぎるジャズのような世界観と完全に一致している。正気の沙汰じゃない。事実Stephenさんはこの録音の直後くらいから生涯精神病に悩まされたそうな。

 

3. High Tide "High Tide" (1970)

重力を歪ませる重苦しくて暗いギターとバイオリン。ギターのうるささは1stのが上だが、世界の終わりのような閉塞感と美しさはこっちが若干勝る。ブラックサバスと少し別ベクトルのゴスバンドだと思う。

 

4. Parson Sound "Parson Sound" (1968)

地獄で流れてる音。郊外の飢餓感のようなものを感じる。分類すればドローンなのに現代音楽的にならずロックに踏みとどまっているのも良し。こいつらの後のバンドInternational Harvester、Harvester、Trad Gras Och Stenarも全部良い。

 

5. Smack "Smack" (1968)

演奏がはっきり言って下手だが、逆にリズムがもたりすぎて迫力とふてぶてしさが生まれている。気まずげに途切れがちなファズギターがそれを助長している。ここでは関係ないがFor What It's Worthのカバーが原曲より良い。

 

6. Alice Cooper "Pretties For You" (1969)

このアルバムに入っている、下手すりゃ1分台で終わる意味不明な曲たちを聴いている時の自分の心理は、昔の嫌な思い出が次々とフラッシュバックしてくる時にかなり近い。そういう意味でのヘビーさがあります。

 

7. Amon Duul II "Yeti" (1970)

前半の、アルバム邦題そのまんまの地獄の炎のような12弦ギターがすんごい。後半はゆるやかなアコースティックジャムだが、全体に通底するのは安っぽくて不健康な邪教感。

 

8. Pink Fairies "Finland Freakout 1971" (1971)

うるさい。音量音圧に一点賭けしているような気概がバカっぽくて清々しい。その点では健康的かもしれない。最初のMCも典型的なヒッピーかよって感じ。

 

9. Captain Beefheart & His Magic Band "Mirrorman Sessions" (1967)

鞭みたいな音がするフィルしかやらないドラムを中心にした、異様な音場と曲。同じところをぐるぐるして高揚する気0の長すぎるジャム。ブルースからだけでは絶対この音にはならない。ここからTrout Mask Replicaまでの距離は意外と近いと思います。

 

10. Jimi Hendrix "Stockholm Concert" (1969)

暗黒ノイジャンとしてのジミヘンは、68年ごろのライブに一番よく表れているっぽい。Disc 2のI Don’t Live Todayの最後なんか本当にすごすぎる。ちなみにDisc 1は全然良くないです。

 

11.German Oak "German Oak"

ナチスをコンセプトとし、防空壕で録音もしたドイツのバンド。タブーを犯すのがカッコいいという中学生くらい安易な精神がこのバンドの肝なはずなのに、最新の再発CDではネオナチの流行に配慮してか曲名が全て当たり障りなく変更されていて残念極まる。

 

12. The Stooges "Fun House"

ストゥージスは"Ann"や"Dirt"のような情念的な曲が一番すごいのに、後のパンクバンド達にはあまり受け継がれなかったようで残念。1stにあったかわいげが完全に消え、めちゃめちゃ不健康になった。

 

13. UFO "Flying"

バンド名の通りスペースロックを看板にしているはずだが、演奏や録音に全く宇宙的な広がりや酩酊感がない。真っ暗な虚無に飛ばされる。わざと?

 

14. 連続射殺魔 "1978.3.26 渋谷屋根裏"

意外と数少ない日本のジミヘンフォロワーのようで、ジョンレノンのカバーなんかそのまんまジミヘンアレンジだが、ブルースの代わりに当時の日本ぽい雰囲気を詰めたような感じがある。客が全然いなそうなライブで、良い空気が出ている。

 

疲れたので以下解説なし。

 

15. The Deviants "Ptoof!"

16. Doug Snyder & Bob Thompson "Daily Dance"

17. Guru Guru "UFO"

18. Flower Travellin' Band "Satori"

19. Funkadelic "Funkadelic"

20. Haymarket Square "Magic Lantern"

21. Heldon "Live Electronik Guerilla"

22. Human Beast "Volume One"

23. Index "Index"

24. Sand "Golem"

25. Simply Saucer "Cyborg Revisited"

26. Vanilla Fudge "Vanilla Fudge"

27. Blues Creation "Blues Creation"

 など

 

※これを見て傾向が掴めた人は、他のおすすめを教えてください。