【長田】Saint Cloud — Waxahatchee 感想

 


f:id:marieblue:20200328040022j:image

 

このアルバムでは、初めて、発声が詩になりえている

たとえば"Fire"という曲における、Fireという言葉に置くアクセント、息遣いは、自分を愛することへの祈りの重さを剥き出しにする

「澄んでいること」についてのエチュードであるこのアルバムは、過去のWaxahatcheeを置き去りにし、はっきりと発音された声を真ん中に置いた。

前作は「関係の検死」についてのエチュードだったが、そのあとの今作は、内省的だとしても、葬送歌のようにはなっていない。

ただ、新しい場所と新しいバンドで楽しそうにやっている今作は、Waxahatcheeの追いかける"Car Wheels On a Gravel Road"に、錯綜ぐあいにおいてではなく、退屈さに対する鈍感さにおいて劣っている

退屈さに対する鈍感さを演出する(しない)繊細さ、てばやさが退屈だからである